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動画よく分かる同一労働同一賃金講座1
(法改正、ガイドライン編)

よく分かる同一労働同一賃金講座1

よく分かる同一労働同一賃金講座1(法改正、ガイドライン編)

それでは、同一労働同一賃金です。
これは実はこれからですよね。今の国会でほぼ(法案が)通りそうです。

衆議院はもう通過しましたけれども、参議院も今月通ると思います。
いわゆる「働き方改革関連法案」の中に、このテーマが一部入っているということになります。

それでは、このテーマについてお話をしていきたいと思います。
法律が通るとしますと、大企業は2020年4月。今は2018年ですから、再来年、2年弱です。中小企業はもう1年猶予されますから、2021年、3年弱です。

ところがさっき言いましたように、
(中小企業とは)メーカーや建設業は、資本金3億円以下か300人以下です。卸だったら、100人以下か1億円以下。小売業であれば、50人以下か5,000万円以下ということです。案外、大企業として認定される会社が多いです。ということになると来年、再来年。2年弱で対応しないといけない可能性が出てくる制度ということになります。

法律改正の部分とガイドライン案が出ています。
そのあたりを中心にお話をしていきたいと思います。
実は、同一労働同一賃金というのは、これまでにも類する法律というのがありました。今回の改正はそれに対してどう変わりますかということです。

たとえば労働基準法にも書いてあります。
第3条、均等待遇というものがありますが、これは、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」となっています。

たとえば、うちがIT企業とします。SEの人たちがいます。SEの正社員がいて、日本人、韓国人、中国人がいます。でも、給与体系は違います、と。これはだめですよ、ということです。要は同じ仕事していますから。国籍みたいなもので、差を付けてはだめですよということです。

もう1つ、第4条には、男女同一賃金の原則というのがあります。「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」これは昔からあります。ところが現実は、女性の方が結果としては平均すると給与が低いですね。女性だからという理由で低いわけではないとはいえ、結果として低いということは、いろんな要因があると思います。これらの法律は、国籍を理由として、女性であることを理由にして、給与低いみたいなことは認められませんよ、と。もうすでにこれはあるのです。これは古くからあります。

で、ここ近年で出てきたのは、先ほどの労働契約法の改正です。
20条にあります。「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより」要は、有期社員であることにより。「同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者」要は、正社員です。と、労働契約の内容で、違う場合において、「労働者の業務の内容」仕事の内容、あるいは「責任の程度」責任の重さ、あるいは「業務の内容及び配置」の変更、要はさっきの職種転換だとか転勤だとか。ということを「事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない」

ちょっと分かりづらいですね、この後具体化していきます。
要は仕事が一緒です、と。転勤あるなしも一緒です、と。職務転換あるなしも一緒です、というなら不合理な差を付けてはだめですよ、ということ。有期社員であることを理由に。

あと、パートタイム労働法です。「職務の内容及び配置が当該通常労働者の職務の内容」これは正社員ですね「の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間労働者であることを理由として」賃金、あるいは、教育、福利厚生、その他の待遇について、差別的取り扱いをしてはならない。

労働契約法20条は有期社員であることを理由にして、パートタイム労働法第9条はパートタイム、短時間労働であることを理由にして、不合理であってはならない。ということが定められています。ここまでは既にあります。今回の法改正ではなく、もう既にあるのです。
ところが、ちょっとわかりづらいですね。

現在、判例がいろいろ出てきています。家族手当は出さないとだめだとか。この前もあった、定年再雇用後の給与を下げていいかどうか、みたいな話は、一応この法律(労働契約法20条、パートタイム労働法第9条)に拠っているのです。まだ今回の法改正は、決まっていませんから。今までの法律でいうとこの辺りをベースにして、どの程度だったらOKなのか、っていうのが、今判例が出ています。ここまでは今までありました。

で、今回の法改正はというと、今のパートタイム労働、労働契約法、労働派遣法を、合体したような感じになっています。

ここを見ていただきましょうか。「短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者」正社員ですね「との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化」しましたよ、と。

ですので、有期労働者ですね、「有期契約労働者について」は、仕事内容、職務内容、あるいは今の職務、あるいは今の配置の「変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保」を義務化しましたよ、と。だから有期社員という理由で、給与を下げたりしたらだめということですね。

で、派遣社員も書いてあります。
ただ、ここがやっかいなのが、比較対象が2つあるので。派遣社員の人っていますね。みなさんの会社も。派遣社員の同一労働って誰と比べるのですか。派遣会社の社員ですか、違うのです。派遣先、みなさんの会社の社員です。要はみなさんの会社の経理部門に派遣されている人だったら、みなさんの会社の経理部門の人たちと同じ仕事をしてもらうわけです。同じ仕事というか同じ部署の仕事をしているわけです。

となるとたとえば、パソナとかリクルートじゃなくて、みなさんの会社の人たちと比べる。比べて、派遣先の労働者と均等・均衡の待遇にする。でも現実的ですか。ありえないですね、これは。だってみなさんの会社のその人たちの給料をオープンにするのですか、と。派遣会社にね。しませんよね。

だから2つめ、一定の要件、たとえば同種業務の一般の労働者の平均的な賃金以上であること、みたいなことを満たすことで、労使協定(による待遇を確保する)、要は労使協定っていうのは、派遣会社がその人たちと、派遣社員と結ぶわけですけれども、要はそっちを取る、と。ほぼそれしかないと思いますが、どちらかを義務化しています。

多分、ほぼ2つめを採ると思います。だって、派遣会社があって、たとえばパナソニックに(派遣社員を)出す場合、中小企業に出す場合、当然正社員で比べると給与倍ぐらい違う、と。そこに合わせなさいとなったら、どこに派遣するかによって派遣料が全然違うとなってくるわけですね。ありえないですよね。そうなると、こっちの2番目の方法を採ることになりますが、こういったことも今回の法律には明記されました。

で、さっきの合理的か合理的ではないかですね。わかりづらいですから「ガイドラインの根拠規定を整備」しましたよ、と。このガイドラインが効いてきます。

もう1つは、「労働者に対する待遇に関する説明義務」が必要になりますよ、と。たとえば、パートタイムの方とか派遣社員、契約社員の方に対して、正社員の人と待遇差ありますね。その理由とか内容に対する説明が要求されます。どうしてか聞かれたら、こういう理由がある、と。こういう違いがあるから、と説明義務化されるというのが1つ。

もう1つは、紛争があった場合の解決手段みたいなのが書いてありますが、最初の「不合理な待遇差を解消するための規定の整備」が、今回のメインということになってきます。

中身を見ていきましょう。今回の法改正の中に、入っています。同一労働同一賃金に関係するものが。不合理な待遇かどうかっていうのをどうやって見るのですか、と。これはわかりづらいところです。これはガイドラインで示しますっていうのが1つです。ガイドライン案がもう出ています。まだ案ですが。これから正文化されます。

で、もう1つは、個別の案件、これOKこれはNOということについては、裁判所で決めますよっていう話です。ただ、そうはいっても前倒しで、決まってきています、いろんなことが。ですから、より重要なのはこのガイドラインと裁判です。というのは、法律を見ても、よくわかりません。

今回、改正が行われるのは、労働契約法20条をやめて、先ほどのパートタイム労働法と合体して、「短時間労働者及び有期雇用労働者」の改善の法律に変える。だから、まずは一緒にしましたよ、というだけです。

で、同一の事業所に雇用される正社員と比較するというところから、同一の雇用主というところに変更します。何を言っているのかというと、たとえばある営業所で、「私この正社員の人より給与低いです」っていうような話をしても、そこでちょうど同じような仕事をしている人は少ないかもしれませんね。営業所とか支店だと。そこで、その会社全体で見ますというように変えましたということなのです。変更して、職務内容・責任の程度とか、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情を考慮して、不合理な待遇を禁止しますと。

だから、対象者が少し広がったという感じですかね。訴えやすくなったみたいなことです。もう1つは「通常の労働者との均衡」これは正社員ですね、正社員との均衡を考慮しつつ、その雇用に関する、雇用する短時間有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めましょう、と。

要は、仕事内容で給与決めるのは良いけど、パートタイマーだからとか、有期社員だからとかいう理由で、差を付けるのはだめですよという話です。でその具体的なものはガイドラインで示しますし、あるいは個別案件は裁判所で決めます、というのが今回の改正です。

で、ここで1番大事なのは、この部分。基本給、賞与、その他の待遇(手当・休日等)のそれぞれについて、待遇の性質及び目的に照らして適正かどうかを見ます、と。これが大事、この「それぞれ」、これだけマーカーを引いておいてください。

いいですか、たとえば、うちは契約社員には大体(正社員の)8割ぐらいの給与を払っています、と。だからまあまあバランスはとれている、と会社は思います。ところが「この手当を出してない」とか、「いや、賞与出してないでしょ」とか。1個1個見られます。だから、トータルで8割だからOKというのではなくて、これはどうですか?これはどうですか?って、1個1個見られるというのが、大きな点です。

実際、今、裁判の結果も、そういう方向に来ています。だからこれはOK、これはどうか、という感じになっています。これがちょっと大変です。会社として対応しないといけません。

で、労働派遣法の改正もあるのですが、さっき言いましたように、みなさんの会社も、派遣の人を受け入れていると思うのですが。派遣元、派遣会社の中でちゃんと適切かどうか、ということを検討することになります。

但し、通勤手当を出してない派遣の人は多いです。派遣の会社の人が。そうなってくると通勤手当は出しましょうという話になってきます。そうなると、みなさんの会社にとって何が影響するかというと、派遣料が上がりますね。もうすでに上がってきていますね。これからもっと上がります。

いいですか、ですから今まで、たとえば、派遣の人に月20万円で来てもらっていたというのが、今度25万円とかね。上がっていく可能性が高いです。それでも受け入れますか、いや、もう直接雇用しますか、みたいな話です。ですから派遣労働の問題については、みなさん受け入れ側の会社からいうと、派遣料金が上がっていく方向にある、と思っていただければよいかと思います。もうすでにその傾向が出てきています。

で、パートタイム労働者に加えて有期社員に対しても、雇入れ時の待遇の内容等に関する説明、あるいは、求めがあった場合にそれに対する説明というところが必要になってきます。ですから今後具体性のあることが出てくるとなると、「ちゃんと説明を受けていません」とか。「聞いたけど、はぐらかされました」とかそういうことになるのだと思いますが、それは義務化されるということが出てきます。問題があった時にはどうしますかというのは、割と対応しやすいような形で、訴えやすくなるということです。

で、ここまで見ていただくとわかりますけども、「同一労働同一賃金」という言葉は一切出てこないです、今回の法律改正には。なのに、何となく「同一労働同一賃金」が新聞にも書いてありますし、テレビにも出てきます。

で、正確には「非正規社員の差別的待遇禁止法案」だと思います。これけっこう大事なことを言っています。今回の趣旨が、正規・非正規の格差是正以外の要素は、全く含まれていないのです。

A社があります。みなさんの会社。たとえば、正社員の人がいます、非正規社員のパートタイマー、契約社員の人がいます、と。
また、B社があります。この会社にも、正社員と、非正規社員の人がいるかもしれません。

今回の法律改定は、あくまでもこの差(正社員と非正規社員)を言っているだけです。あなたの会社の正社員と非正規社員の間に不合理な差はないですか、ということを言っているだけです。

「何となくそうかな」ということを思っておられると思うのですが、たとえば、ヨーロッパだと、A社の正社員とB社の非正規社員の差どうですか?A社の正社員とB社の正社員の差どうですか?と。こんなことを言われます。

たとえば、ドイツなんかは、産業別の組合組織があるわけです。それが「大体この仕事内容だったらこれぐらい」という賃金相場みたいなものがあるわけです。するとある程度、他社との同一労働であれば同一賃金みたいな考え方があるわけですけど、日本は関係ないです。よその会社はよその会社ですから、という考え方です。

あるいは、正社員の間にも当然、差はあるわけです。たとえば、同じ仕事をしているのに給与に差があったりするわけです。でも今回の法律は、ここの差については言いません。だから「同一労働同一賃金法」ではない。

あくまで1社の中の正社員と非正規社員の待遇格差を是正するということです。

これが第Ⅰ部で言いましたように、今では全体の4割が非正規社員になっています。当然給与水準が低いですから、そういう人たちで会社は賄ってきたわけです。

今回はそれの揺り戻しですから。非正規社員の待遇を引き上げようというために、この同一労働同一賃金というか、この法案の改正がありますので、あくまでも非正規社員の引上げです。この人たちの引上げということが目的になっています。

ちょっと回りくどいですね。もしそれだけが目的なら、たぶん、「最低賃金1,200円にします」の方が、即効性があります。引き上げざるを得ませんから。ところが今回の法改正だと、いや、同一じゃないのですとか。いろんなケースがあります、これは同一なのかとか。これはOKなのかとか。

たぶん、もしそれだけが目的なら、そっちの方がシンプルだったと思います。配偶者控除をなくすとか。103万の壁が、今は150万になりましたけど、あれを取っ払うとか。そんなことの方が良かったと思うのですが、同一労働同一賃金の原則に沿って、非正規社員の待遇を引き上げていこう、ということが、今回の趣旨であるということになります。これは、大事なところです。この後、話が進みます。

ところが、法律には一切出てこないですが、ガイドラインの方は、「同一労働同一賃金ガイドライン案」です。だから、こっち(法律)には書いてないけども、そっち(ガイドライン案)には載っていますね。なんかちょっと変てこなんですけど、だからやっぱり同一労働同一賃金ということですね。この原則を守って行きましょうという話です。

動画よく分かる同一労働同一賃金講座2
(よくある疑問編)

よく分かる同一労働同一賃金講座2

よく分かる同一労働同一賃金講座2(よくある疑問編)

よく聞く質問に対しての回答を、Q&A式で出させていただいています。

同一労働同一賃金って何ですか。要は同じ仕事内容であれば、同じ賃金にしなさいという考え方。なんとなくわかりますね。ところが、同じ仕事の内容であれば、同じ給与にしなさいということかいうと、ちょっとそうではないですね。

例えば、営業職。これも1つの仕事ですね。ところが、できる営業職とできない営業職がいます。これを同じ賃金にしなさいというわけじゃありません。よく同一労働同一賃金の反対意見として、できる人が割を食うのではないか、と。この差は構わない。例えば、仕事ができるということでその人たちの給料が高い。責任が重いということで給料高い、これはOKです。

「難易度や能力、成果によって」差を付けることはいいです。ただし、同じように実績を挙げているのに、正社員だ、非正規社員だという理由だけで、あるいは、男女、国籍みたいなことだけで差を付けてはいけないということです。

要は、仕事内容で給与に差を付けるのはOK。仕事以外の差で付けたらだめですよと。だから、本当はこれでいうと、年功賃金って違法じゃないかなと思うのですが、そこまでは言っていません。一応それぐらいは認めています、ということになっています。

ただしその正社員かそうじゃないかだけで差を付ける、っていうのはだめですよ、というのが今回の趣旨です。で、何のために日本でやるのですかというと、今申し上げた通りです。「正社員と非正規社員の待遇格差是正」、要は非正規社員の待遇改善が最大の目的である。

ただし、ヨーロッパではですね、もっと前から、議論がスタートして、もうすでに定着しています。そのときの論点は男女差です。今でも問題視されていますけど。男女格差を是正しようという目的でスタートしたので、スタート地点が違うのです。

で、もう1つは日本の場合は各社内で是正しましょうね、と。そうすると、次はこういう問題が出ると思います。例えばイオンがありますね、皆さんの家の近くでもね。で、街のスーパーがあるとします、それはもう正社員の給料は差がありますね。大企業と中小企業ですから。ところが、パートさんの給料ってどこも一緒でしょ。950円だったらこっちも950円ですから。場合によったら、地元のスーパーの方がちょっと高くしないと来ないから、1,000円に設定しているところもあります。

だから、実は非正規社員こそ、同一労働同一賃金が実現しています。いいですか、コンビニ行きますね。たぶん、高校生はちょっと安いですけど、22歳の大学生、40歳の方であろうと、同じ時給950円ですよね。入社当初はね。能力があったら上がっていきますけどね。ということは、同一労働同一賃金は、非正規・パートタイムは、実現しているのに、今度崩そうとしていますよ。ですね?

正社員の給料が高い会社のパートタイムの人は給料上げなさい、でしょ。考え方はね。そうすると今度は、非正規格差が出ると思います。真面目にやっていったら。今まで一緒だったのがね。そうなると、例えば、大手の会社に勤めるとパートタイムでも1,600円、中小に行くと950円、と。ますます大手に人が集まるかもしれません。このような懸念はありますが、まずは何とかして、非正規の人の待遇を上げようというのが目的です。

3つめ、「同一価値労働同一賃金」です。「価値」っていうのが入っています。実は、世界的にはこっちがスタンダードです。同一労働同一賃金じゃなくて、同一価値労働同一賃金、ですね。これはどんなことかというと、ヨーロッパではこの考え方なのですが、「同一価値労働同一賃金」という表現の方が一般的です。

例えば、さっき言ったように男女差を埋めようとします。そうすると男性が得意な仕事と女性が得意な仕事があるとしますね。力仕事みたいなのが、男性が得意だとか。美容みたいなのが、女性が得意だとすると、それに値札付けたらどうしますか?結果として、仕事内容が違うからという理由ですけど、男性が得意な仕事に給与を高くすることが可能ですね。

これを防ごうということで、例えば知識のレベルとか、技能レベルとかいくつかの基準で職務を判定する。そうすると、例えば、トラックドライバーと、美容の仕事を分析してみると同一の価値がありますね、といったことを測る訳です。

仕事内容は違うけども、価値で測ってね、と。要は、これは意味合いとしては、男女差をなくすためにやっていることです。だからこういう考え方がベース。ただし、今回はあまり考えなくていいです。今回の法律はここまで言っていないので。同じ仕事内容であれば同じ賃金にしなさい、正社員と非正規社員の待遇格差是正が最大の目的、と見ておいていただいたらよいかと思います。

もう1つは、さっきのトラックドライバーの人と美容の仕事、エステティシャンが、仕事内容の価値が一緒かどうかは、なかなか判断しづらいですから。そういう面でいうと、同一価値労働っていうのは、証明するのは、なかなか難しいかもしれません。ちょっと、同一価値労働同一賃金は忘れて頂いてもよいかと思います。こういう言葉があるっていうことぐらいは覚えておいてください。

みなさんの疑問は、「同じ仕事ってどう判断するの」ということですね。例えば、営業職とか、製造職っていうのは、まず職種で分かれます。また、責任の違いも当然ありますね。

同じ製造職、生産部門にいるとしても、この正社員は最後の品質責任まで負っている、ということとか。あるいはちょっと難しい仕事やってもらっている、難しい製品になったらやっぱり正社員がやります、とかね。いや、求められる能力が違うのです、とかね。というようなことの違いがあれば当然やっぱり違いますね、ということが認められる。だから、同一ではない。

いや、これ完全に一緒ですね、っていう場合は同一です。ただ、今みたいな要素があれば、違いますね、と。ところがここは、なかなか難しいところです。ですから、ここは同一なのかどうかということについては、裁判ごとに、いろんな判断がなされると思います。逆にいうと、賃金差、例えば正社員と非正規社員の場合、契約社員の場合で、差を付けておこうとするのであれば、ここが違いますよということが会社として説明できなければいけない、ということになります。

あと、転勤ありかなしか、といった話です。これどれぐらい差をつけたらいいの、っていうような。これから、話題になろうかとは思いますが、先ほどの調査データのように、平均10%とかね15%の差というのが多いですよ、というような話にはなってきます。

次に、非正規社員の待遇改善は、正社員の賃金引下げにつながるのではないか、と。これも反対している人の、理由に多いですね。正社員の給料が、非正規社員の給料で基本給こうだったら、こう下げるのでは?と。さっき言ったように、この法律だけなら、これOKですね。でも、そんなことできないっていうのは、みなさん大体おわかりですよね。不利益変更になりますよね。だから、同一労働同一賃金的にはOKかもしれませんけど、不利益変更っていう、かなり強いものがありますから、じゃあ、下げますよ、と。そんなことができるわけがない。すぐには、ですが。

政府内で議論をしていたときにも、正社員の引下げで同一にするというのは、これはあってはなりません、と言っていますよね。ところが、正社員そのままで、非正規だけ上げると、その分の人件費が増えるわけです。確実に。

で、それに対して、国はどう言っているかというと、生産性アップで、吸収しましょうよ、と。これはいいですね。すごくきれいですね。きれいだけど、生産性なんて上がるのですかという話ですね。上がるなら今までにもう上がっていますよね。

ということになるので、それが耐えられなかったら、例えば、損益すれすれの会社もありますよね。その会社赤字出してでも、これ実現しないといけないのですか、という話。そうすると、当然、普通の経営者であれば、正社員の賞与を抑えるとか。非正規が上がった分正社員で帳尻合わせようとしますね。人数減らすとかね。だからやっぱり、結果としては、正社員にも影響する、と。

儲かっている会社は別ですよ。それぐらい上がってもかまわない、という会社は別ですけども。当然、コストが上がった分吸収できたらよいですよ。業績とか収益でね。そうじゃなかった場合は、当然正社員にも影響してくるっていう話です。

実は、オランダは、この問題に取り組んだ先進国ですけども。この場合は、正社員が我慢しました。昇給とか。我慢する代わりに非正規の方が上がってくるのを。自分たち我慢するから、非正規の方を昇給してみたいなことについて協定を結んでやりました。

だから、本来はそこまでしないといけないと思います。ところが、安倍政権は、3%昇給しましょう、と言っていました。要は、正社員ももっと上げてくれ、と言った。景気上げるために、いや、正社員を上げたらまた差出るじゃないですか、っていう話ですけれど。

だから本当に実現させたいのなら、正社員抑えといてもいいから、非正規の給与を上げようとか。そこまで言うのであれば、良いかなと思いますが。ちょっとここは、正規社員にも、非正規社員にも良い顔をしているような感じがあります。

ところが、ここの質問に対しては単純に正社員の賃金を下げるということはできませんよ、と。でも、吸収できなかったら、結果として、そうなっていく可能性もありますということです。

先ほどから何度か言っています。同一労働同一賃金のガイドライン案が、2016年に出ました。去年、一昨年の暮れに出ましたので、見ておられる方も多いと思います。

この後、ポイントを解説していきますけども、法律では合理的ですか、とか不合理性はないといった表現ですから、わかりづらいです。だからできるだけ具体例を用いて、出してきたのがガイドライン案です。

まだこれは案の段階なので、それだけで行政指導になることはないけども、今度は正式なものになりますから、今度は法律が通って、ガイドライン案の「案」が取れますから。その時にはそれをベースに、従業員側もそれを見てですね、「これあきらかに、うちの会社おかしい」というようなことが分かりますから、それが、導入されるというようなことになります。

動画よく分かる同一労働同一賃金講座3
(対策、判例、各社の対応状況編)

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※書き起こしのみとなります。

よく分かる同一労働同一賃金講座3(対策、判例、各社の対応状況編)

問題となるガイドライン案を見ていきたいと思います。読まれましたか。ガイドライン案を読まれたことがある方?ありがとうございます。半分弱ですね。

案の内容はホームページへ入れますので、見ていただければと思います。ここで解説しますので、それで良いと思いますが、2016年12月に発表された案です。ふつうは法律が変わってから、ガイドラインが出るべきです。

「法律が変わりました、その具体案は」ということを、ガイドラインは示すべきです。今回は先に出しています。意図としては、先に出してみて、みなさんの反応を見ているのです。ただ、結構具体的なことが書いてあります。

まず基本給について、労働者の職業経験、能力に応じて支給しようとする場合。いわゆる職能給ですから、日本の会社で1番多いタイプです。みなさんの会社でも、「能力給、職能給」とよばれているとすれば、基本的にこの考え方でしょう。等級があって、そこから昇給していきます。

ちょっと読んでみます。「基本給について、労働者の職業経験・能力に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者(正社員)と同一の職業経験・能力を蓄積している有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない」また、「蓄積している職業経験・能力に一定の差があるなら、その差に応じた支給額の差はあって良い」とあります。

これは、ちょっとまだ不明確なところがあるのですが、たとえば、うちは職能給を採っている、とします。基本的には、(正社員も非正規社員も)同じ仕事・職種なのです。だから、職能給をパートタイマーと契約社員にも入れましょう、という考え方です。

通常の場合は、正社員は能力給です。ところが、パートタイムの人は相場給です。うちの地域だと千円だったら、うちも千円、としていますよね。要するに給与の体系が違う、ということです。

そこは給与の支払い方を合わせなさい、となるか。趣旨は「合わせなさい」なのですが、違うなら違う理由を説明しないといけませんよ、という話です。

なぜ、正社員は職能給なのに、我々は同じようにスーパーの店員をしているのに、時給900円で入社したら、900円のままなのですか。あるいは、10円、20円は上がるけれど、正社員と違う給与体系なのですか、水準になぜそのような差があるのですか。という質問に対して説明ができますか。

ガイドライン案が正攻法として求めていることは、正社員が職能給なのであれば、1級、2級、3級、4級のような給与の水準があったとして、1級、2級の仕事をしているなら、パートタイマーの方へも1級、2級の給与水準で支払うことです。

その下に補助業務があるというなら、-1級とか-2級などもあるかもしれませんが、体系を考えて、正社員と非正規社員が同じ級なら、同じような給与水準にしてね、という理屈です。

たぶん、職能給で考えている会社が1番多いですね、正社員の場合。次は、少ないかもしれませんが、業績給とか成果給にしている場合、同じように成果や業績に応じて支払ってください、という話。次は、労働者の勤続年数、年齢に応じて支給しようとする場合、パートタイマーや契約社員にも、同じ理屈を導入すべき、という話です。

もし、正社員と非正規社員で同じ制度を採らないなら、そうではない理由があるのですか、と。短期間契約だから、とか会社が何か言うかもしれませんが。基本、ガイドライン案は、正社員と非正規社員の給与体系は同じであるべき、と言っています。

大変なことですね、もしこれが完全に入っていくと。たぶん企業側は、「パートタイマーには違う仕事をしてもらっているので、ここには、職務給が適切なのです」とか色々と言うことになると思いますが、その時にはさっき言ったように、きちんと説明がつくんですか、というところが問われると思います。

ガイドライン案に色々と書いていますけれども、同一労働同一賃金の意味合いが入っているのは、実は「基本給だけ」だと思います。要は、仕事内容が一緒なら一緒、違うなら違うなりの給与にして、というのは、基本給についてだけです。

では、みなさんの会社はどうしたら良いか、ということですが、対応策は3つぐらいあると思います。1つは、有期社員・パート社員を正社員の等級制度・基本給制度に当てはめること。ただし、転勤の有無、職場転換の有無、あるいは勤務時間とかの違いによっての基本給の差は、ある一定はあっても良いです。

だから、全く同じ給与にしないといけない訳ではないです。ですが、その差(転勤の有無、職場転換の有無、あるいは勤務時間などの違いによる基本給の差)ぐらいにしてください、というのが1つ。

2つめの対策が、正社員と非正規社員の仕事区分を明確にして、現状の賃金格差を維持しよう、ということ。多くの会社がこれだと思います。正社員は斜めに上がっていくような給与です。パートタイマーは950円からスタートして、10円ずつ昇給していきます。

今まで給与体系が違い、今後も違います。なぜかというと仕事内容があきらかに違うから、と会社は証明するということです。多くの会社は2つめの対策を志向すると思います。ですが、国が求めているのは1つめ(非正規社員を正社員の等級制度・基本給制度に当てはめること)とか、次にご紹介する3つめです。

3つめは1つめの変形で、有期社員・パート社員も含めた共通の等級制度・基本給制度を新たに設計する、つまり、全社員に向けて作り直すということです。これをこの2年の間に考えていかないといけない、ということになると思っています。おそらくこの辺(1、2、3いずれか)の選択肢ということになると思います。

読んだらきついことが書いてあります。どこまで本気でやるかです。ただ、基本給の場合は、仕事内容が違いますとか、色々な要素がありますので、完全に正社員と非正規社員が一致するということは、すぐにはないと思います。

問題は次です。私が今回のガイドライン案で、1番企業に対してインパクトが強いと思っているのは、手当と書いてあるくくりの中の「賞与」です。賞与は手当というくくりの中に入っているのです。

賞与の内容を読みます。1番上に「賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合」とありますが、それ以外あるのでしょうか。たとえば、生活給として、年2か月分は保証しています、というようなことはあるかもしれませんが、基本的には、会社の業績への貢献に応じて、支払っています。賞与ですから。

「賞与について、会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合」とありますが、ほとんどの場合そうだと思います。無期雇用フルタイム労働者(正社員)と同一の貢献である非正規社員の方については、その貢献分は同じ支払いをしてねという。あるいは貢献に差があるなら、その額に応じた差はあってもいいです。

でも、多くの会社がしているように、正社員の方へは4か月分とか5か月分とか出しておいて、パートタイマーの方へは寸志で、3万円とか5万円です。というのは、ガイドライン案を見る限りでは許されないですよ。だって、貢献が10分の1なのですか、20分の1なのですか。これはもし争ったらなかなか厳しいです。

そうなると、私は、もしこのガイドライン案がそのまま適応された場合は、賞与が、1番インパクトがあると思います。特に、今まで契約社員あるいはパートタイマーの方々に賞与を支給していなかった会社は、けっこう多いです。あるいは寸志だけ出していましたという会社が多いですから、そうすると、そこの部分を引き上げるとなると、非常に大きな問題になります。

もちろん人件費が上がるということもあれば、今回、扶養控除に関する103万円の壁は150万円に上がりましたが、社会保険料に関する130万円の壁とかもあるわけです。そうしますと、給与をその範囲内に抑えようとすると、結果的に働く時間が短くなるというような効果もあるかもしれない。ということが、ガイドライン案に書いてあります。

これ以外はそんなに大したことありません。役職手当も、役職が付いていたら払いましょうという。でも、実際パートタイマーの方に、「課長です」「部長です」というような方はいませんから、あまり影響はないです。

あるいは危険手当のような手当も、特殊作業手当のような手当があったら、パートタイマーの方にも払いましょう。これも書いてありますけれど、そのようなことはあまりないですから。あったとしたら、既に手当を払っていますよね。

あるいは、交替勤務手当のような手当も払う。皆勤手当は、けっこう影響があるかもしれません。皆勤手当が残っている会社へは。正社員と同じ仕事であれば、パートタイムの方とか、有期社員の方へも同じように支給しましょうという。これについても、判例が出始めています。

ただ、これらの中で大きいのは、やはり賞与でしょう。みなさんの会社の対応策としては、有期社員・パート社員に対しても、正社員と同様の賞与制度を導入すること。同じ額じゃないかもしれませんけれども。ある程度、見合ったものにしていくというのが1案。ただし、とても人件費が上がります。

一方、この対策を採る会社が1番多いでしょう。「賞与については、具体的な判例が出るまで、様子見とする」、圧倒的に多いでしょう、これが。だから、額面通り、書いてあるのであればその通り、たぶん逃れようがないと思うのですけれど、今、一部事例がではじめています。どこまで出さないといけないか分かるのは、これからでしょう。

賞与って法律がほとんどないじゃないですか。別に会社として出しません、としてもOKですよ。というだけに、グレーだった。もし、ガイドライン案のような理屈を当てられると、中々出さない理由を付けるのは、少し難しいのではないかなと思っています。だからけっこう大きなインパクトがあります。

はい、残りの手当を見ておきましょう。時間外手当、これもそんなに影響はないですね。組合が強い会社なんかだと、正社員の時間外手当を1.25倍じゃなくて1.35倍にしたりしますが、パートタイマーとかでしたら、時間外労働がそもそもないですから。だからあまり、時間外手当を出しても影響がない。深夜手当もね。

これは一部影響がありますね。通勤手当を出していなかったら出しましょう。ただしこれも、多くのパートタイマーの方とか契約社員の人へ既に出していますから、影響は限定的でしょう。あとは食事補助とか。単身赴任手当も関係ないです。パートタイマーで単身赴任の方は、ほとんどいらっしゃいません。

この辺は通勤手当ぐらいです、もし出していないなら、出しましょうというのは。対策としては、これら手当については、正社員と同じように払いましょう。多くはそうなります。

ただし問題はこれですよ。大きな手当が抜けています。ガイドライン案では記載が見送られた「家族手当」、「住宅手当」あるいは「退職金」。全然出てこないです。特殊勤務手当とかを書いといて、家族手当を抜くって、あって良いのでしょうか。特殊勤務手当とか、役職手当とか、ほぼ支払うことがないじゃないですか。

そこまで書くなら、家族手当、住宅手当、退職金は抜いていませんよ。明らかに、入れてしまうと大変なインパクトがあるからですよね。「もし、家族手当、住宅手当を正社員に出すなら、パートタイマーにも出しなさい」と案に書いてしまうと、大きな影響があるからです。だから入れていないのです。

ですから、対策の2としては、家族手当、住宅手当、退職金まで含めて、少しみなさんには考えておいていただく必要があると思います。有期社員・パート社員と正社員の、支給額や制度を統一していく。ひとつは正社員に合わせるという手があります。

ただし、パートタイマーの方が多い会社だとどうしますか、ということです。ですから、廃止とか縮小も含めて、新しい制度を作成し、統合するという案があると思われます。ちょっとここを補足しておきます。この後出てきますので。

そして、福利厚生。この辺りは全然問題はないかと思います。ちょっとあるとしたら、教育訓練です。(非正規社員へも正社員と)同じようなことを求めているのであれば、同じような研修をして、ということです。ここも基本的には正社員と合わせる方向で、手当とかと同じで良いと思います。

そうなってくると、ガイドラインで注目すべきは、まずは基本給のところ。ただここはちょっとグレーゾーンが多いので、少し様子を見ながら、となると思います。ただ、賞与はやはりインパクトが多いと思います。で、手当関係は、基本的には、正社員と非正規社員を合わせていく、という方向です。福利厚生とかも。

気になっていたところにもどっていただくと、家族手当、住宅手当、退職金というのは、本来は含まれるべきです。書いておかないといけないことを抜いた理由は、やはり大きなインパクトがあるからです。

だからといって、家族手当を契約社員、派遣社員、あるいはパートタイマーの方に出さなくて良いという話ではないです。書いていないから出さなくて良いという話ではないです。これは判例に任せる、裁判所に任せるという話ですね。

既に裁判所で判断が出始めています。その話をこれからします。これは中々すごいです。2018年2月に出ました。郵便局です、日本郵便。その前に東京地裁の別の案件が出ていますけれども、これは大阪地裁で判決が出ています。

正社員と同じ仕事をしているのに、手当の額に格差があるのは違法だとして、日本郵便の男性契約社員8人が3,100万円の支払いを求めました。それを一部認めたのです。扶養手当、住居手当、年末年始の勤務手当については、不当なので払いなさいという。

判決は、扶養手当、家族手当については、契約社員が家族を養う負担は、正社員と変わらず、「職務内容などの違いにより必要性が大きく左右されない」と指摘。住居手当は原則として転居がない一般職(地域限定)の正社員に支給されているのに、出さないのはおかしいでしょう、年末年始の手当についても同じで、払いなさい、ということなのです。

ただし、ボーナスの算定方法とか、休暇の有無などについても、格差解消を求めたのですが、それらは仕事内容に差があるから、そこまではだめ、と却下されました。この判例はインパクト大きいですね。

これはさっきの通勤手当と一緒です。要は通勤するのに、同じ仕事であるかどうかなんて関係ないです。会社まで来ているわけですから。同一労働同一賃金のガイドラインと書いているのですけれど、要は仕事が一緒かどうか問われるのは、さっきの基本給ぐらいです。

手当関係はそれぞれについて見られますから、通勤手当は通勤の交通費ですから、払わないといけませんという。この判例も「家族を扶養しているかどうかは、契約社員であろうと、正社員であろうと、あるいは、仕事が変わろうと一緒でしょう」、ここが大事です、理由が。

もしこれが全部適用されるとすると、郵便局はどうしたでしょうか。これはもうご存知ですね。郵便局を含む、日本郵政グループ全体で取り組みましたけれども、この4月に判例が出ました。

全国社員の住宅手当は変えていないのですが、地域限定社員のうち、5,000人に今まで住宅手当が出ていたのです。ところが、正社員のうち5,000人の住宅手当を廃止すると分かった。さっきの判例がある程度影響しているのでしょう。

廃止対象は、原則として転居を伴う転勤のない条件の正社員ですから、全国社員と地域限定社員があるとすると、地域限定社員のことです。2万人の中で、何かの条件で住居手当が出ていた5千人なのです。この人たちの住居手当をなくしますよという。最大2万7千円らしいですけれど。

ですから、先ほど言いましたように、正社員を下の方に合わせた例です。これはすごく批判されました。郵便局はそこまでするのかと。でも実際よく見ていくと、他の手当はあげており、人件費自体は、若干上がっているのだと思います。

この住居手当の部分だけを見て、けしからんということになっているのですけれども、そういう方向をとりました。だから、既に郵政が、スタートしている。対応する会社が出てきている、ということです。

いいですか。ここはセットだと思います。この判例(2018年2月、扶養手当不支給は「不合理」日本郵便訴訟 大阪地裁)は、まだ地裁ですから、また高裁があって、最高裁があるかもしれませんが、こういう判断がされる。たしかに仕事内容は違うけれども、家族を養うことは一緒ですよね。

さっきの通勤手当と一緒です。通勤していて、コストが掛かっている、電車賃は一緒です、という理屈と一緒ですから。そうすると、郵政については、こういう(地域限定正社員の住居手当を廃止するという)対応をしたという。

おそらく、それ(非正規社員の給与制度を正社員に合わせた結果、人件費が過剰に高騰すること)がアウトになっていくと、こういうことを考えていく会社が増えていくだろうと思います。郵便局が先行しちゃったのです。で、1番に出たので袋叩きにあっていますけれど、それをみんな見ています、うちはどうしようかと思って。だからまず、先頭ランナーで、今ずっと叩かれている、というところです。

一方、トヨタ。「期間従業員に家族手当を出します」。
トヨタは、期間従業員に家族手当を支給する制度を創設する方針を固めた。大きな差があります。同一労働同一賃金という考え方、あるいは家族手当、扶養手当に対しての極端な対応差です。どちらも同一労働同一賃金になっているけれども、正社員に合わせるか、非正規社員に合わせるかによって、大きな対応差が出ています。

ちょっと主旨とはずれますが、家族手当について触れますと、家族手当の今のトレンドは、「配偶者手当をやめて、子供手当へ振り替え」です。国家公務員もそうなっていきます。あるいは経団連に加入しているところ。経団連もそういうお触れを出しています。それの先鋒としてトヨタがやっているわけですけれども。

今トヨタだと、子供手当は子供1人につき2万円ずつです。で、配偶者手当をやめてしまったのです。なおかつ、トヨタは期間従業員にまでそれを広げる、ということをしたのです。

でも、ちょっと考えてみてください。うちの会社って家族手当ないですから、ブラック企業とかではないのですけれど、家族手当は元々ないのです。納得しているのですけれども。もし、私の奥さんがトヨタに勤めていたらどうしますか。

たぶん、仮に子供3人いたら、「奥さんの扶養にしといてね」。で、例えば「世帯主に限る」と書いていたら、奥さんを世帯主にするのですよ、届け出たらいいですから。

子供手当化するとなると、そのような流れになると思いますが、その時にどっちが負担するのですかという話ですよ。どっちが負担してもいいわけです。どっちかの扶養になっているとか、どっちが世帯主かという話があればですよ。たぶん両方の会社から子供手当が出るということはないと思いますけれども。

そうなると、たとえば、子供手当が多い方に、ひょっとしたら集中するかもしれません。今まで旦那さんの方に付けていたのに、こっち奥さんにするかもしれません。ということは、どこの会社が負担するのですか、という問題が次の問題として出てきます。だから、子供手当化できたから、やれやれ、ということではないかもしれないです。

もう1つ、お待たせしました。この前判決が出ました、最高裁。長澤運輸事件という、事件というか訴訟ですけれども。横浜の運送会社です。定年再雇用後のドライバーが3人、訴えたのです。給与下げられましたと言って。「59歳の人と全く同じ仕事をしているのに、60歳になったら、給与が2~3割下げられた、納得できません」、と言ったんです。

そうすると、東京地裁は、アウトを出したのです。弁護士さんは「中小業者を中心に、全く同じ仕事なのに、再雇用者の賃金を下げるケースが多い、不当ですよ」という。たしかにそうです、ということで、訴えた側が勝ったのです。

一方で、その後、高裁は逆転判決を出しました。いやいや、世の中そんなものですよ、2割か3割ぐらいは下がりますよ、それが社会的な日本の風習ですよ、というような話です。言葉はちょっと違いますが。で、この6月1日、最高裁の判決が出ました。高裁を支持です、基本は。

精勤手当みたいなのは出してください、となりましたけれど、2~3割ぐらいは、ある程度、社会的にはそんなものですという。社会的には、というだけじゃなくて、年金が出るとか、退職金もらっているでしょう、とかね。色々な理屈があるわけですけれども、その段で、いくらか下げるというのは、会社としてちゃんと雇用を維持するために必要なものです、ということが出ました。これは大きな判決です。

大きな判決なのですが、じゃあうちの会社、やれやれ安心した、と思わないでください。2つの側面があって、これはドライバーです。割と仕事内容が分かりやすい。全く一緒だということを証明しやすいです。という場合には、どうしますかということです。そうすると、2~3割というのは許容範囲です、と言われたのです。でも、これが4割だったらどうですか。まだ火種はあると思います。

あるいは、みなさんの会社からいうと、ホワイトカラーの会社が多いとします、そうすると大体、全く同じ仕事はさせないですよね。責任をちょっと落としたり、業務量を落としたり、ちょっとやはり落としたりしますよね。じゃあそれで、例えば給与を半分にします。これはOKですかというのは、この判例だけではわからないです。条件が違いますから、状況が違いますから。

だから、これが行けたので、60歳以降、たとえば定年以降で給与を下げるのが、全部認められたと思うのは、早計ですね。だって2~3割ってどうですか。実はあらゆる待遇、処遇については、中小企業より大企業の方が良いのです。退職金にしたって、給与水準にしたって。この定年再雇用だけです、大企業の方が厳しいのは。

1,000万円ぐらいもらっていた人を、平気で300万円にしたりしますよね。月給25万円ですとか、20万円ですとか平気でしますよね。それまでOKが出たわけではないです。だから、今後また訴訟が増えていくと思いますが、その都度ごとで、これはOK、アウト、2割だったら良いけれど、4割は下げすぎだ、とかになっていくと思います。

だからみなさんから、うち、3割下げているのですけれども、OKでしょうかと言われても、私では分かりません。これに照らし合わせるといいかもしれませんけれど、という話です。だから、こういうことが積み重なって、どの程度だったらアウトなのか、みたいなことが、出てくるということになります。

ただし、先ほど言いましたように、住宅手当と家族手当とか、仕事に関係ないと思われるものについては、この日本郵政の判例とか、さっきのトヨタのように、正社員に合わせましょうみたいな動きが、主流になっていく可能性がけっこうあります。これにまだ、退職金が加わると大変なことになると思います。

ですので、今の定年再雇用の問題でいうと、トヨタですけれど、既に手を打っています。工場部門、製造部門だけですけれども「スキルドパートナー制度」というのを導入しています。要は、現場の仕事で、それなりのスキルのある方については、場合によっては、給与を現役世代と比べて下げないこともあります。現役世代と同じ、100%出すケースもあります。あるいは90%とか80%とか。

今までよりも格段に上げています。できるだけ下げなくてもやっていけるという。というのは、今までトヨタの定年退職者のうち再雇用者が7割で、3割は辞めてしまっていたのですね。それを繋ぎとめようということです。

一方、ホンダは、定年を65歳としています。しかも、給与も今まで、がさっと下げていたのを、延長前の80%ぐらいにはできるようにする。かなりいいですよ、80%というのは。

トヨタ、ホンダというような大手どころが、60歳以降、場合によっては給与を下げない。あるいは、定年を延長して、給与を延長前の80%にする。この辺りが、ひょっとしたらスタンダードになっていく可能性がある、ということになります。色々なことを考えても定年後の再雇用者、あるいは定年延長後の賃金は、上がっていくと思います。

今って実は、1番かわいそうな時期です。年金って今は62歳じゃないと出ないじゃないですか、今までは60歳で出ていたから、たとえば月給20万円にしても、年金が出たり、何かが出たりしていたのが、今は出せないから。今の時期の人は、給与は下げられる、年金は出ない、というタイプになりますので、かなり厳しいです。が、それのゆりもどしが出てくるのではないか、と思います。

ではちょっと進んで。うちもアンケートを取りまして、「日本の人事部」というサイトがありますけれども、ここの読者の方というか、登録されている方、248人からアンケートの回答がありました。

「同一労働同一賃金が法制化されるにあたって、自社に影響はあると思いますか」。ある程度ある、あるいは、大いにあるという人が7割近くにのぼりました。これは色々な業種の方が入っています。あるいは、「人件費にはどのような影響が予測されますか」。これも大きく上昇する、上昇する、を合わせると、6割ぐらいになります。法制化されたらけっこう影響がある、人件費もけっこう上昇しそうだ、というケースが多い。

基本給はどうなりそうですか、改定していますか。既に改定済みであるというのは少数です。検討していますよ、というのはけっこう多いです。でも大半のところは、まだわかりませんという。手当も同じような感じです。賞与、あるいは、各種手当もそうです。ただ、通勤手当などは出す方向で行こう、というのが既に出てきています。

おそらく通勤手当あたりは、「うちはパートタイムには出していません」ということは、もう認められないと思います。こういった分かりやすい手当は、早めに手を打っていく必要があると思います。家族手当、住宅手当、退職金、ここはもうちょっと様子見ですかね。様子を見ながら対応していくことになろうかと思います。インパクトが大きいので。

教育とか福利厚生なんかも。たとえば、食堂の券がパートタイムの人は違うとかいうことも、ちょっと合わせていくことが、今の時点から必要なのではないでしょうか。

結果的に、同一労働同一賃金に賛成ですか、反対ですかと聞かれたら、半々に分かれているのです、主に人事担当の方に聞くと。賛成の理由と反対の理由が、割とはっきり出るのですけれども。

賛成のこと言っておられる方は、色々理由が書いてありますけれども、本来はそうあるべきです、というご意見が圧倒的に多いと思います。非正規社員の給与を今まで下げすぎたとか、やっぱり待遇が低すぎた、というご意見です。

一方で反対の意見は、やはり現実的な意見です。それで人件費が上がったら、うちはもちませんとか。あるいは、実際に仕事内容の違いがはっきりさせられるかというと、大変ですとか。要は、人事担当者ならではの反対意見がけっこう出ています。

でも半々です。本来はあるべきだけれども、実際うちの会社で導入すると考えると、難しいのですよ。というのが、人事担当者の方々に聞いた結論かと思います。

はい。ちょっと事例だけ紹介して、最後しめていきたいと思いますが、エフコープ生活協同組合です。最初にやりました無期転換の話(今回WEBへは同一労働同一賃金の動画のみ載せております)と、同一労働同一賃金と、両立てになっていますけれども、今まで正社員とフルタイム非正規社員の給与体系は、当然、水準というのが違ったわけです。

ところが色々な問題があって、大きくは、辞職社員が多いわけです、辞めていく。不公平感がある、というようなことを変えました。

元々色々なことがあったのだけれど、実際、正社員と同じような仕事をしている人がけっこういた。だけどやはり、パートタイマーだから時給低いですよ、とかいうことに対して色々な不満だとか、定着率の悪さみたいなのが出ていました。それを変えていきましたという事例です。

ですから、フルタイムスタッフと定時スタッフ(パートタイムの方々)については、基本的には同じような階層の等級制度を入れて、もちろん、地域限定なのですが、勤務地限定とかそういうような違いはありますけれども、それに応じた給与を設定していきましたということです。

で、基本的には同じランクの人であれば、同じだけの給与水準になっていく。当然、地域限定であるという分の差はあると思いますけれど。という形に、切り替えていきました。

はい。離職率が大幅に下がりましたということと、不公平感が減ったので、改善ができましたということの事例が、これ(エフコープ生活協同組合の取組事例)ですけれども、厚生労働省のページに出ています。

要は、正社員に合わせていったのですけれど。これができるのは、おそらく、正社員の給与水準がそんなに高くない会社だと思います。でないと、大きい差があると合わせられませんから。少しだけの差だったら、なんとか徐々に合わせるか、というような話です。全ての会社が、これができるとは思いません。

もう1つ、ちょっと事例を見ておきましょうか。コストコです。倉庫型のスーパーですけれど、大きな。今でも新しいお店ができていたりしていますけれど。ここは実は、とても、同一労働同一賃金なのです。新卒社員、正社員が時給制度なのです。マネージャーは違いますけれども。

ですから、募集のページを見ていただくと、新卒社員、正社員も時給制で、1,250円か1,300円。この差は仕事の違いなのです。長期アルバイトも1,250円か1,300円。パートタイムも1,250円か1,300円。みんな一緒です。完全に同一労働同一賃金なのです。

ですから、薬剤師も募集しているのですけれど、正社員も2,900円、アルバイトも2,900円、パートタイムも2,900円。仕事による違いはあるけれども、雇用形態による違いはありません、と。見事なのですが、今度の法律が通ると、違法になるかもしれない。

なぜか。時給は全く一緒なのですけれども、たとえば拘束時間とか、責任とか、職務の内容が当然違いますから、賞与とか福利厚生面では、正社員の方に少し上乗せしてあるのです。これはふつうに考えたら、そうしますよ。そうしないと正社員がふくれますから。

そうすると、さっき言いました。個々で見ますよ、と言われると、なぜ正社員だけ賞与出しているのですか、と言われたら、ひょっとしたら、アウトになるかもしれない。たぶんアウトになるのです。ここまでしておきながら。

実際、コストコの人事担当の方も、うちは、完全な同一労働同一賃金ではありません、とは言っているのですけれども。でも、ここまでしときながら、アウトになったら、ほぼ、ほとんどの会社がアウトですね、ということになります。ですから、どこまでやるのですか、ということになると思いますが、少しその時点では、見直しがかかるかもしれません。

では、みなさんの会社、結論です。対策を決めていかないといけないのですが、今回は法律でしたら、ここです。みなさんの会社の中の正社員と非正規社員に差があれば、ここをどう埋めていくかという話です。

ところが、本来の同一労働同一賃金であれば、年配の人と若い人って、給与差があるじゃないですか。同じような仕事していても。これをどうするんですかという話。あるいは、家族手当って本当に公平なのですか。あるいは、さっきの定年前社員と定年再雇用後のところが問題として出てきます。あるいは、全国社員と勤務地限定社員に差を付けていますが、この差って妥当なのですか。

これもあります。出向者とプロパー社員って、親会社から出向してきている人は、同じ仕事をしているのに、給与が3割高かったりします。これこそ同じ仕事って証明できますよね。ほぼ同じ。これはアウトじゃないのですか。これはアウトじゃないです。同じ会社じゃないから。今回の法律では、ですよ。

だから、正社員と非正規社員、定年前社員と定年再雇用者の差は、今回の対象ですけれど、中高年社員と若年社員、家族持ちと独身者、全国社員と勤務地限定社員、出向者とプロパー社員の差は、今回の対象ではないのだけれど、正社員の中での話ですから。でも、実は、正社員と非正規社員、定年前の社員と定年再雇用者の差を直していこうとすると、変わっていかざるをえないということです。

次のページを見ていただくと、賃金カーブってこういうことなのです。1番上が正社員です。次が、短時間労働者、正社員の。少ないですけれども。赤が一般労働者で、正社員以外、契約社員とかです。1番下がパートタイマー、短時間とかの。パートタイマー、契約社員、正社員、と上がっていくと思っておきましょう。

そうすると、この辺(~29歳)は問題が出ないですよ。大して差がないから。ここ(50~59歳)ですよ。50歳の人を比較したときに、給与が倍ですよ、正社員の人と非正規社員の人(を比べると)。ここが大きな問題になっています。当然こっちが部長で、こっちが平社員というなら、差は分かります。でも50歳だからって、みんな部長ではないですね。

同じような仕事をしている、一般の仕事をしている人は、これぐらい(正社員と契約社員等のちょうど間の額を手で指し示して)もらっているかもしれません。そうするとこの(正社員とそれ以外の方の)差をどうするのですか、という話になります。

すでに、手を打ち始めています。たとえばNTTは、60歳以降の給与水準を引き上げる代わりに、40代、50代を抑えていきます。ヤマト運輸も一緒です。そういうことを打ち出しています。おそらく、これがひとつのスタンダードになると思います。

一方で、さっきのトヨタもホンダも、60歳以降を引き上げるだけです。一般の人の分は何も手を付けていません。なぜですか。儲かっているからです。クレディセゾンも全員を正社員にしました。なぜそれができますか。儲かっているからです。儲かっていて、それぐらいしたとしても、十分それを行うメリットがあるよ、というならOKです。

ただ、そこまで儲かっていないという会社は、やはりどこか抑えます。さっきの同一賃金同一労働で、非正規社員の給与を上げると、抑えます、正社員の分を。抑えるときは結局ここ(40代、50代)でしょう。だって、新卒社員の分を抑えて、初任給を引き下げますか。新卒がこなくなったらこまりますから、しませんよ。

やはり年功の賃金を抑えますよ。たぶんこう(NTTの賃金カーブ改定イメージを示して)なると思います、大きくは。どの程度にしないといけないか、するかは会社の判断になると思いますが、大きな方向性としてはこういう方向になると思います。

はい。ひとつのモデルだけ紹介して、終わりたいと思いますが、「こういう等級制度が今までありました」というのであれば、やはり、契約社員、パートタイマー、それぞれもある程度、仕事内容に応じて、体系に位置付けていくというのが、ひとつの、この趣旨でしょう。王道なやり方だと思います。

ただし、全く同じ給与を出さないといけないか、というとそうではなくて、たとえば、正社員の人と比べて、契約社員は地域限定ですよ、あるいは、仕事限定ですよ、ということで、たとえば、正社員の90%の水準で設定します、時給換算で。なおかつ、パートタイマーの方は、夜勤もしないし、土日も働かないし、ということで、そこからまた10%落としましょうか。

だから、基本給水準が、正社員を10とすると、契約社員は9、パート・アルバイトは8ぐらいで妥当かどうか。これはまた議論の余地はありますけれども、たとえばこれぐらいで、仕事のランクに応じた均衡というか、レベルに合わせていく。

ただし、今までは3級、2級で留まっていた人も、ずっと昇給し続けていたかもしれませんけれども、止めていかざるをえませんよね。年功賃金分はなくしていきます、とすると、正社員の方の給与体系も変えざるをえないでしょう。昇格しなくても、ずっと昇給し続けるというのは難しいでしょう。年齢給が55歳まで上がり続けるというのは、ちょっと難しいのではないでしょうか。

そうするとやはり、正社員は年功的な要素を抑えていって、契約社員とパート・アルバイトであれば、それぞれの役割とか、転勤の有無に応じた体系にしていく、という流れになるのではないでしょうか。

手当とかも一緒ですね。同一にしていきます。賞与なども、当然ベースの給与は違いますから、そういう点において差はあると思いますが、ある程度、会社が儲かっていれば、それに応じて払いましょう、儲かっていないなら、それに応じて払いましょう、ということは合わせていく。という流れになると思います。

ですので、みなさんがこれから考えるべきは、国がやってほしいのは1です。差があるのであれば、非正規社員の方を正社員に合わせていく。ただし、これはコストがかかります。よほど余裕、というような会社でないと、難しいだろうと思います。1番平和ではありますけれど。

で、2つめ、やはり今まで通り「正社員と非正規社員の方は、契約社員とかパートタイムの方は、仕事は違うのです」、と。だからやはり今まで通り、給与差は妥当なのです、と思われるなら、その違いというのは、ちゃんと説明できるようにしていく。これがたぶん1番多いでしょう。当面考えられているのは。

もうひとつは、さっきのヤマト運輸、NTTみたいな形で、正社員を下げる。結果としてはこうなる可能性もあります。

はい、この辺り(上記3つを示して)の選択になると思います。あるいは組合せということになると思います。

仮に、「家族手当は非正規の人にも出しなさい、住宅手当が必要だというなら、契約社員の人も同じように住宅手当がかかるでしょう」、となるのであれば、それを出すという前提で、今の住宅手当は妥当なのですかという。

水準とか支給自体を含めて、もう1回見直しをするタイミングにきている。それがこの後、2年弱、あるいは中小企業だったら、3年弱の間にきていると思っていただいて良いと思います。

おそらくみなさんの会社は、周りの会社の様子を見ながらになると思います。色々な判例が、また出てくると思いますが、方向としてはこういう方向に見直さざるをえない、というのが今回の法改正ではないか、と考えています。

山口 俊一

講師紹介山口 俊一 | 人事戦略研究所 所長

人事コンサルティング、講演、執筆活動を中心に活躍している。職種別人事をベースにした独自の発想と企業の実状に沿った指導により全国からコンサルティング依頼を受け、定評を得ている。現在までに中小企業から一部上場企業まで、社以上のコンサルティング実績を持つ。主なコンサルティングテーマは人事評価・賃金制度の構築、組織運営など。