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「アルバイトにも賞与を支給すべき」と全国初の判断

2019/07/05

大阪医科薬科大学、アルバイトへの賞与不支給は「違法」
大阪高裁2019年2月15日 判決のポイント

<裁判の概要>
大阪医科薬科大学(旧大阪医科大学)の秘書業務に従事していたアルバイト職員が、正職員との待遇格差は違法として、不合理な格差是正を訴えた。

<判決のポイント>
・賞与が、正職員全員に年齢や成績、大学の業績に関係なく一律に支給されていた点を重視し、アルバイト職員に全く支給しないのは、不合理と判断した。

・また賞与水準については、職務と責任の違いや、契約職員に正職員の80%の賞与が支払われていることから、正職員の60%を下回る格差は不合理とも判断した。

・一方、正職員との基本給格差などについては、一定の相違が生じることは不合理とはいえない、とした。

 

アルバイトが、正社員や契約社員に支給されている賞与が、自分たちに支給されないのは「おかしい」と訴えた裁判です。この判例は、「アルバイトにも賞与を支給すべきである」と全国で初めて判断し、注目を集めました。

大阪高裁が、アルバイトにも賞与を支給すべきであると判断した根拠は次のとおりです。
・賞与の支給が年齢や成績に連動してなく、就労したこと自体に対する対価であった
・訴えを起こしたアルバイトは、フルタイムで働いていた
・フルタイムで就労しているアルバイトに、就労したこと自体に対する対価である賞与を支給しないのは不合理
・契約職員には、正職員の賞与の約8割の賞与が支給されていた

さらに大阪高裁は、これだけの条件がそろったときは、フルタイムのアルバイトには、正職員の賞与の6割以上の賞与を支給すべきであると判断しました。裁判所が、「6割」という具体的な金額の割合まで示したのです。

この事例でも、大阪高裁は1審判決の判断を覆しています。1審判決では、正職員とアルバイトに賞与で差をつけることは、正職員の雇用を確保するために合理的であると判断していたからです。

従来は、「賞与は正社員のみに支給し、非正規社員は支給されなくても仕方がない」というのが定説でした。ところが、今回の大阪高裁の判決が出たことで、賞与も同一労働同一賃金の対象になりうることがわかりました。